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病気のはなし

前立腺がん

副院長 泌尿器科 石坂 和博
(緑のひろば 2009年10月号掲載)


前立腺がんは増えています

 がん(悪性新生物)による死亡は、わが国第一位の死因です。男性では多い順に、肺がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がんとなっています。前立腺がんは6番目ですが、増加率は10年毎に1.5倍になるという急激な上昇を示し、がん死亡の将来予測では、2020年に肺がんに次いで2番目の死亡数になるといわれています。前立腺がんの発生率には人種差があり、アジア人の発生率は低いものでしたが、生活習慣の欧米化、特に脂肪分の多い食事の摂取などの影響で増加しているといわれています。昔の話になりますが、ハワイに移住した日系1世の前立腺がん罹患率が欧米人並みに上昇したという歴史的な事実が裏付けとなっています。

前立腺がんの症状は

 早期の前立腺がんには、特徴的な症状はありません。前立腺部で大きくなると「尿が出にくい」といったような、前立腺肥大症と同様な症状が出てきます。また、前立腺癌の転移の好発部位は骨なので、転移してしまって腰痛で発見されるというような場合もあります。前立腺肥大症は前立腺に発生する良性疾患です。肥大症は直接がんに変わりませんが、肥大症のある人はない人に比べて前立腺がんの罹患率が4倍になります。そういった意味からも、排尿困難や、頻尿などの前立腺肥大症の症状がある場合は、我慢せずに早めに泌尿器科を受診しましょう。前立腺肥大症と診断された場合も、次にお話しするマーカーを調べて癌を見逃さないようにします。

前立腺がんを早期に発見するためのマーカー

 がんに打ち勝つためには、早期発見が必要です。前立腺がんには、きわめて有効な腫瘍マーカーがあります。採血でPSAという項目を測定すると、前立腺がんの早期発見が出来るのです。PSAというのは、前立腺細胞が作る蛋白で、通常大部分が精液中に出ていきますが、前立腺がんがあると前立腺の中の血管から血液中に入りやすくなるので、血液中のPSA値が上昇してきます。
SAは50歳から64歳までは3以下、65歳から69歳は3.5以下、70歳以上は4以下が正常とされています。それ以上でしたら泌尿器科を受診して再検査や精密検査に進むことになります。

定期的な検診(PSA)が早期発見につながる

 前立腺がん先進国といえる米国では、50歳以上の男性の75%はPSA検査を受けたことがあります。前立腺がんが若い人にできることは珍しいので、50歳になってからで結構ですから検診を受けましょう。泌尿器科以外の診察でも「前立腺がんが心配」と言っていただけば、採血検査をしてもらえます。米国ではPSAスクリーニング普及後は前立腺がん死亡率が低下傾向にあり、2003年は1990年と比べて31%低下しています。

日常生活での予防法は

 日常生活でのがん予防を1次予防といいますが、それだけで100%予防は出来ないのががんの恐ろしいところです。けれども、やれることはあります。脂肪を多く含む食事は避けましょう。肥満はいけません。抗酸化酵素が活発になるように緑黄色野菜を取りましょう。特にトマトのリコピンは良いといわれています。精神的ストレスもいけませんので、適度な運動もしながら元気な毎日をお過ごしください。

最先端の治療は

 平成20年4月から前立腺癌の治療に「腹腔鏡下小切開前立腺全摘術」という低侵襲(体に優しい)の手術治療が認可されました。マスコミには「ミニマム創手術」として広まった方法です。この治療は、認定された施設でしか受けることが出来ません。公立学校共済組合関東中央病院では、早くから手術方法の改善に取り組んだ結果施設認定を受けることができ、この手術を行っています。前立腺がんセンターとして、高線量外照射、小線源療法も行っています。


※石坂医師は現在は在籍しておりません


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