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病気のはなし

白癬(水虫)についての豆知識

皮膚科部長 鑑 慎司
(緑のひろば 2012年9月号掲載)


1)足の皮がむけたり、小さい水ぶくれができたり、かかとが分厚くなったら水虫である。
2)爪が変色、あるいは変形したら水虫である。
3)水虫はかゆい。
4)水虫はちょっと見ただけでわかる。

このようにお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、答えは全て「いいえ」です。足の爪や皮膚に変化があっても顕微鏡検査で白癬菌を見つけて初めて、水虫と正しく診断することができます。また、かゆくない水虫の方も多数いらっしゃいます。顕微鏡検査で白癬菌が見えない場合は他の疾患を考えなければならず、その治療方針は水虫とは異なります。皮膚科医でもちょっと見ただけで全ての患者さんを正確に診断するのは至難の業です。だからこそ皮膚科医は顕微鏡検査をします。
 水虫なんて放っておいてもたいして困らない、とよく聞きます。しかし足の水虫を放置すると,症状が悪くなり治りにくくなる、足以外の部位へ拡大する,他の方へうつす、足白癬の患部から細菌が侵入し感染症を起こす(ごく稀に生命に関わる)ことがあります。また爪の水虫の放置は,白濁や変形、靴下やストッキングが破れる、爪を切れない、巻き爪の合併による痛み、歩行障害の原因になるという問題があります。
 自己判断で市販の抗真菌剤を塗り始めて、それでも良くならないので皮膚科を受診するという方をしばしば見かけます。しかし受診数日前までそれを塗っていて、かつ顕微鏡検査で白癬菌が見つからなかったときは二つの場合が考えられます。湿疹などの水虫以外の疾患、あるいは市販の抗真菌薬で白癬菌が減っているがその薬でかぶれている、のいずれかです。このような場合は抗真菌薬を中止して、ステロイド剤を塗る治療を始めます。そして後日皮膚科を受診してもらい、再度顕微鏡検査をすることになります。このように既に市販の抗真菌剤を塗っていると治療に少し手間がかかります。そのため市販の抗真菌剤を塗る前に皮膚科を受診した方がより早く治療できることがあります。また、皮膚が割れているところに抗真菌剤を塗るとかぶれて悪くることがしばしばあるため、抗真菌剤以外の塗り薬が必要になります。さらに、市販の抗真菌剤には医師が処方する抗真菌剤にはない様々な成分が含まれており、それらの成分でかぶれることがあります。

 治療法ですが、爪以外の水虫は抗真菌剤を塗るのが主体になります。ただし足の裏が分厚くなるものは抗真菌剤の飲み薬がより効果的です。

  1)入浴時に患部を石鹸でよく洗うこと。
  2)患部より広めに抗真菌剤を1日1回薄く塗ること。
  3)再発予防のため見た目がきれいになっても最低3か月は塗り続けること。
  4)患部が高温多湿にならないように乾燥させること。

 以上の4つが重要です。

 爪白癬は病変部を爪切り、ニッパー、ドリルなどで除去して抗真菌剤を塗れば治る方も時々いらっしゃいますが、抗真菌剤の飲み薬の方が治療効果はより高いです。内服中は採血をして副作用がないこと確認することもありますが、たいていの方は問題なく内服可能です。また、既に内服薬が多数の方でも内服可能な抗真菌剤もあります。

 最後に予防についてですが、スポーツクラブのシャワー室や温泉など共同浴場の脱衣場の足ふきマット、大勢で使用するスリッパは白癬菌がたくさんいます。それでも毎日石鹸で足をよく洗うこと、および抗真菌剤を外用することなどで予防できます。水虫かどうか気になる方や水虫を治したい方は皮膚科を受診しましょう。


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