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病気のはなし

小児の胸痛について

小児科統括部長 香取 竜生
(緑のひろば 2015年2月号掲載)



頭やお腹、手足の痛みなどに比べ、胸の痛みを訴える子供は少ないといわれていますが、その分、親御さんの不安は大きいのではないでしょうか。

 子供の胸痛の原因としては胸壁の痛みが50-80%、呼吸器が10-20%、心因性が10%、心臓、ケガ、消化器が5%程度とされており、ここには書ききれないほどたくさんの病名があります。一方、特発性(原因がわからないということ)の胸痛が半分以上ともいいます。診断できるほどの症状も異常もないことが多いということです。胸痛というと、命にかかわるような病気を心配されると思いますが、胸痛以外の症状がない場合、心臓の病気が見つかるのは500人に1人という報告もあります。重症となる疾患や治療の必要な病気がないようであれば、まずは様子を見ているのが一番ということになります。ただ、様子を見るといっても、何もせずにほっておくということではありません。

 どのような教科書を読んでも、詳細な問診(患者の話を聞くこと)と診察だけで胸痛の原因の目星はつくと書いてあります。顔色が悪い、咳が出る、下痢がある、吐いた、熱がある、おしっこが出てない。いろいろな症状が伴うときは、その症状が診断のきっかけになります。医者が診たり、聴診したり、触診(手で触ること)したりして異常が見つかれば、半分ぐらいは診断がついたようなものです。

 痛みそのものは目で見ることはできませんから、子供と付き添いの方からのお話が頼りです。どのような痛みか、いつから始まったのか、繰り返すのか、どのような時に起きるのか、どれぐらい続くのか、ほかに痛いところや症状はないのか、咳や体を動かすと痛みはどうなるのか、ぶつけたり転んだりはしていないか。お話だけで診断がついてしまうこともあります。ただ問題は患者が子供さんだということです。

 大人でも自分の症状を正確に伝えるのは難しいものです。自分の症状を伝えられるのは、学童からと言われますが、中学生でも、いつからの痛みか、どれぐらいの頻度か聞いてもなかなか答えられないものです。ましてや2歳児が胸が痛いといっている場合は、何か嫌なことがあるのでしょうが、そのままに受け取っていいかは要注意です。心配されるのは当然ですが、あまり騒がずに、落ち着いて様子を見るのが大切です。

 胸痛に限らず、子供が痛みを訴える場合、まずは、よく観察していただければと思います。なんらかの症状が伴うときは、受診したほうが良いでしょう。息ができない、話ができない、冷や汗をかいている、動けないなどがあれば救急を受診することを考えましょう。ほかに症状がなく、短時間でよくなるが、繰り返すときも、やはり様子をみることが大切です。痛みの場所、頻度、持続時間、曜日、時刻、咳や呼吸の様子、顔色、食事・運動・排泄との関係など、メモを取るなどしておくと大変役に立つものです。

 差し迫った症状がなく、本人も元気そうな時でも、泣くほど痛がる、学校に行けない、体育や部活を休むなど生活上の問題がある場合は、また別の問題があるかもしれません。何週間も休むと、それだけでも登校しにくくなるものです。病院を受診して重大な病気がないことが判ると、安心して症状が良くなることもあります。親御さんも、少しは安心して様子を見られるのではないでしょうか。

 子供が痛みを訴える場合は、まずは様子をよく見るのが肝心です。目で見て判るような症状がある場合は受診を考える。ほかに症状がなく本人も平気そうなら経過を見る。差し迫った様子がなくても、生活に差し障りがあるようなら何週間も待たずにやはり受診するのがよいかと思われます。


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