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病院広報誌

緑のひろば

2016年7月号

動脈硬化について

心臓血管外科 川崎 暁生

動脈硬化は加齢に伴って進行しますが、その進み具合は日常生活や病気によって大きく異なってきます。動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞、下肢の血流低下でおこる閉塞性動脈硬化症を発症します。日常生活では喫煙や暴飲暴食・塩分過剰・高カロリーの食事、病気では高血圧・糖尿病・高脂血症などが大きく影響します。動脈硬化の進行は、脈派検査や頸動脈エコーなどで調べることができます。体に侵襲の無い検査ですので痛みもなく安心して受けて頂く事が出来ます。今回は最も簡便に検査が出来る脈派検査について主にご紹介します。

 
血圧脈派検査装置   検査風景

脈派検査は心電図と共に両手・両足の血圧を測る検査です。血液の流れ具合(ABI)や血管年齢(動脈の硬さ・baPWV)が判ります。ABIとは腕の血圧と足首の血圧の比で、0.9〜1.3が正常値です。理想的には足の血圧の方がやや高めで1.1ぐらいと言われています。0.8を下回ると血流障害により、下肢のしびれや疼痛、冷感、歩行障害などの症状が出始めます。

右図は内腔が膨らみ血液の流れが悪くなった状態を示しています。さらに進んで閉塞してしまうと血液が来なくなった組織が壊死を起こし、下肢を切断しなければならない事もあります。baPWVは心臓での拍動が血管の中を伝わって行く時間を腕と足首で計測することで脈が伝わる速度を測定したものです。年齢により基準値があり基準値より計測値が高いと、動脈硬化が進んでいる、すなわち血管年齢が高いということになります。血管年齢が進んでいるからと言ってすぐに症状に直結するわけではありませんが、血管に弾力がなくなると血圧も高くなりやすく、全身の血管が破綻しやすい状態になります。そうなると、脳卒中や心筋梗塞の予備軍となり、知らないうちに生命の危険にさらされることになります。

最後に頸動脈エコーについても少しだけご紹介します。脈派検査では間接的に全身の血管を評価できます。一方で頸動脈エコーは超音波で直接的に血管の中を見ることができる検査です。ゼリーを付けた超音波プローブを頸部にあてるだけで、血管の肥厚・プラークの付着、狭窄や閉塞などの血流障害などが画像として見ることができます。検査としてはどちらも全身血管の一部ですが、全身の血管年齢は同じように進んでいくと考えられ、検査で異常が見つかった場合、その部分だけでなく脳や心臓、足に行く血管も病気を抱えているリスクが高いと言えます。動脈硬化を進ませないためには、日ごろの食生活や運動が大事です。これからのシーズン熱中症に気をつけながらお散歩に出かけましょう。
この記事を読んで日常生活を振り返って頂き、少しでも不安を感じた方は今回ご紹介した検査を是非一度受けてみて下さい。将来の大病が予防できるかもしれません。  


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