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病院広報誌

緑のひろば

2013年7月号

10秒テスト

脳神経外科
中内 淳

脳神経外科外来を受診する患者様で訴えが多いのが「頭痛」です。頭痛の原因も様々で、腫瘍、出血(クモ膜下出血、脳内出血)など俗に言う『やばい頭痛』がありますが、実際遭遇する機会は非常に少ないです。むしろ最近多いのは、パソコン、スマホ、PCタブレットといった、一点を注視しながら指先を酷使する事が原因で起こる肩こりや、首の張り(緊張)から来る筋緊張性頭痛が多くなっています。治療は原因となっている事をやめれば改善しますが、中にはそうではない患者様がいます。詳しく話を伺うと、頭痛だけではなく手にしびれがある、最近歩き難い(つまずく、階段を降りるのが怖い)と言った症状を合併している事があります。こういった症状の患者様に共通している原因は、首(頚椎)に病変がある場合があります。具体的には、頚椎症性脊髄症(頚椎症)、頚椎ヘルニアといった病気などがあげられます。診断は簡単で頚椎のMRIを撮影すれば一発で診断がつきます。しかし、わざわざ病院まで行って、診察まで長時間待たされてその上、後日MRIを撮影しに行くとなると正直めんどうくさいと思います。そこで、今回皆様にご紹介したいのが『10秒テスト』です。左右の手それぞれで、10秒間グーパーグーパーが何回できるかを測定するテストです。正常は20回以上ですが、20回以下の場合はなんと、頚椎(首の神経)に病変がある可能性があるのです。

実際の患者様の例を提示します。

59才の女性。外来に普通に歩いて来院。最近右手でお箸が持ちづらくなり、右半身がしびれる。さらに足の運びが悪くなったと言う訴え。右半身を中心とした訴えであるため、左の脳で何か病気が起きたのではないかと当初は推測、例えば、小さな脳梗塞か脳出血、あるいは脳腫瘍があるのか、頭のMRIを撮影しようかなと。しかし、足の運びの悪さは左足にも存在していました。となると、脳だけでは病変の説明が付かない。そこで、10秒テストをやってもらうと、なんと 右手が5回、左手が8回。頚椎病変を疑い頚椎MRIを撮影すると、写真に示すように出っ張った椎間板により脊髄が砂時計の真ん中みたいに圧迫されている、重症の頚椎ヘルニアが確認されました。

このような状態で、もし転倒し首が振られると、場合によっては脊髄損傷(首から下が全く動かなくなる状態)になり、人生が180度変わってしまいます。幸いこの患者様は、翌週には脳外科で手術させていただき、症状が改善し、独歩で退院しました。

このように、簡単なテストで重症な病気を見つけることが出来ます。

もちろん100%正確な検査ではないので20回以下だからといって、心配することはありません。逆に20回以上できても安心してはいけません。つまり、最近、肩こりがひどい、手足がしびれる、足の運びが悪い、つまずく、などの症状を認めた場合試しに10秒テストをしてみてください。その時に20回以下の時は、当院脳神経外科を受診してください。

当科は脳神経外科専門医、脳卒中専門医、脊髄外科認定医が在院しており、より専門的な視点から診察し、必要であれば神経内科、整形外科との連携も行っております。

また、毎週水曜日に「脊椎・脊髄・しびれ外来(予約制)」も設けております。ご心配な症状がありましたら受診して頂ければ幸いです。


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