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病院広報誌

緑のひろば

2010年7月号

思春期の子どもへの接し方

精神科 中   康


【思春期とは?】
おおむね10-18才の時期(小学校高学年〜高校生年代)は、第2次性徴(女の子は初潮、男の子は精通)が始まり、子どもの体から大人の体へと急速に変化します。この時期に、子どもの心も体に合わせて大きな変化を遂げていきます。一般的には接しにくい時期と言われますが、心が発達していく上での課題をとらえていくと、どう接したらよいかが見えてきます。

【思春期の発達課題とは?】
 思春期の子どもの心が発達していく上での課題は、一つには親に依存する存在から自立した存在へと変化していくことです。何でも親に話すのではなく、同性の友人との間で親密な関係が展開してきます。親に対する反抗が強まって自己主張をすることが増し、乱暴な言葉づかいをするようにもなります。そのように親離れをしながら、少しずつ自分の将来の夢を描き始め、また性別のはっきりした存在(男の子・女の子)としての気持ちも高まってきます。親離れが順調に進み、将来の進む道を思い描け、男の子あるいは女の子としての自信をもつことができれば、大人の自分に向かって前進しやすくなるでしょう。そして思春期の若者は、自分の進路や自分の好きな異性(恋人)を選び取るようになります。

【いかに理解するか】
思春期は親に激しく反抗しているようで、反面親に依存もしています。暴言を吐いた次の場面では親にべたべたするようなこともよく見られます。親から自立したい気持ち、親に頼りたい気持ちが、同時平行で存在することが思春期の心の特徴の一つです。

また親に対する反抗を、親を憎んでいるととらえるべきではありません。親に対する依存もまだ強いため、そこから自立していくためには大きなエネルギーがいります。親に対して反発したり、話をしなくなったり、乱暴な言葉を浴びせかけたりするのは、依存する親から何とか距離をとろうとする動きと言えるでしょう。

不登校や家庭内暴力は、前向きに頑張っていくことがしにくくなり、親のそばにいて密着したり、暴力で親を思い通りに動かして満足を得たりする、後ろ向きの満足を得ていることになります。また、自信喪失に陥って自己評価が保てなくなると、ダイエットをして過剰にやせたり、手首自傷(リストカット)をしたりして、心のバランスを保とうとする動きもみられるようになります。

【いかに対応するか】
親としては、まずは親離れをしようとする子どもの気持ちを認めてあげながら、将来の夢を描いたり男性(女性)としての自分に自信を持ったりするなど、思春期の発達課題を達成しやすいような方向で援助する必要があります。将来の進路に関しては、親の意見を押し付けるのではなく、子どもの意見を尊重し、自分で考えて決断することを応援するのがよいでしょう。また、子どものプライバシーを守る必要があるため、独立した部屋を提供し、部屋に入る時はノックや声がけをする、日記や携帯電話の内容を無断で見ない等が勧められます。さらに、両親が協力して、小遣いや門限などのルールを明確に提示していく必要があります。異性の親子間のスキンシップは控え、夫婦喧嘩に子どもを巻き込まないなどの配慮も必要となります。

【相談のすすめ】
関東中央病院の精神科では、思春期の子どもの心のさまざまな問題の相談や治療をお受けすると同時に、思春期の子どもをもつ親御さんが、どのように子どもの発する言葉や行動を理解し対応していくべきかについての相談をお受けしております。御両親で相談しても解決策が見出せないような場合には、是非御活用ください。



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