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病院広報誌

緑のひろば

2008年12月号

【最近の抗癌剤】


「癌の治療は日進月歩」、特に薬物による治療は、最近の20〜30年間にはめざましいものがあるといわれています。

癌の化学療法では、抗癌剤が細胞分裂の活発な細胞に作用し、その分裂を阻害します。つまり癌細胞は活発に活動し、分裂を繰り返し増殖しているために抗癌剤が効果を発揮するというわけです。抗癌剤は、その阻害のメカニズム(作用機序)の違いからアントラサイクリン系、タキサン系、5−FU系代謝拮抗薬、トポイソメラーゼT阻害剤などに分類されています。しかし、いずれの抗癌剤にしても、細胞分裂が活発な(細胞が次々出来てくる)場所である髪の毛、爪、口の中や腸の粘膜などの癌細胞以外の正常な細胞にも作用してしまいます。このため、副作用として不快な症状が現れます。

最近では効果の向上と、かつ副作用の軽減を目的として新しい作用機序の抗癌剤が開発されてきています。新しいタイプの抗癌剤は、分子標的薬剤と呼ばれ、薬の作用する場所が、従来のものと異なっています。この抗癌剤は、分子生物学的に解明された癌細胞の発生、伸展(成長)、転移などの機構研究から作られてきました。

この抗癌剤の作用機序は、癌細胞が生きて増殖していくうえで、重要な働きをする癌細胞内部の特定の分子を狙い撃ちにします。いわゆる『ピンポイント』で攻撃するため、正常細胞への影響が少なくその効果を発揮します。その攻撃する点で分類すると、研究段階の薬も含め以下のように分類されます。

[シグナル伝達阻害剤]変異を起こし,暴走した癌細胞の増殖に必要な情報伝達を司る分子を妨げるもの。

[血管新生阻害剤]癌細胞は,伸展・転移に必要な栄養分や酸素を供給してくれる毛細血管を必要とします。その血管を作ることを妨げ、癌細胞を『兵糧攻め』にするもの。

[マトリックスメタプロテアーゼ(MMP)阻害剤]癌細胞が組織に浸潤したり、転移したりするときに重要となるMMPという酵素を妨げるもの。

[テロメラーゼ阻害剤]癌細胞の増殖のための細胞分裂を無制限に続けさせる酵素であるテロメラーゼを妨げるものなどがあります。

しかし、研究が進むにつれて短所もわかってきました。効果や副作用に個人差が大きく、そのため厄介な副作用も報告されてきました。そこで当院でも医療チームを組んで患者様それぞれに対して、効果、安全性のチェックを行っています。

今もこうしている間に、多くの人々の手によって新薬の開発、新たな使い方・組み合わせの研究などの努力が続けられています。

薬剤部 篠原 嘉篤



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