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病気のはなし

胸部大動脈瘤について

心臓血管外科 川ア 暁生
(緑のひろば 2014年11月号掲載)



心臓から全身へ血液が流れ出る血管を大動脈といいます。心臓から出た血液は、大動脈を通って全身に枝分かれしていきますので、大動脈の病気が発症すると命にかかわる重大な現象を引き起こします。血管の内膜が破れると急性大動脈解離と言って、リスクの高い緊急手術が必要になります。また、血管が徐々にこぶ状に拡張した状態を大動脈瘤といいます。横隔膜より頭側に出来た瘤を胸部大動脈瘤、足側を腹部大動脈瘤と呼びます。腹部の大動脈瘤に関しては2010年の9月号で紹介していますので、今回は胸部大動脈瘤についてお話します。通常3cm程度の血管が1.5倍以上の大きさになると大動脈瘤と診断され、紡錘形に拡大した場合、最大径が5〜6cmを超える大きさになると破裂の危険性が高いと言われています。また、血管壁の一部が突出する嚢状瘤では大きさに関係なく破裂の危険性があります。瘤が破裂すると胸部・背部に激痛が出現し、ショック状態となったり、突然死することも少なくありません。外からでは分かりませんが、体の中で大出血を起こしているわけですから、すぐ救急車を呼んでも間に合わないケースや、病院に運び込まれても緊急手術となり、かなりのリスクが伴います。

動脈瘤の原因は体質にもよりますが、動脈硬化症や高血圧症と考えられています。健康診断の胸部レントゲンで縦隔(左右の肺に挟まれた部分)異常を指摘されて見つかることが多いです。通常無症状ですが、瘤が大きくなると周囲の組織を圧迫して、嗄声(声のかすれ)や呼吸困難・食べ物を飲み込むのが困難になることがあります。

正確な大きさや瘤の範囲はCT検査で診断します。大動脈瘤と診断され、瘤が小さい場合は、血圧を低く維持して定期的なCT検査で経過観察です。リスクを避ける為には、破れる前に手術を受けなければなりません。経過観察中に1年間で0.5cm以上拡大したり、見つかった時点で6cmを超えているケース、また、小さくても嚢状瘤は破裂する危険性が高い為、外科的治療を選択します。瘤の位置や年齢、今までの病歴などにより、手術の方法が変わります。
胸部大動脈をさらに細かく分類すると、頭や腕に行く血管の分かれ道がある部分を弓部大動脈、心臓から弓部大動脈の手前までを上行大動脈といいますが、この部分の手術は開胸手術による人工血管置換術(血液の流れを一時的に止めて、血管が瘤になっている部分を人工血管に置き換える手術)が基本で、弓部よりお腹側を下行大動脈といい、開胸しないで内側に人工血管を植え込む、ステントグラフト内挿術を選択します。年々、ステントグラフトの性能向上により、弓部にかかる動脈瘤もステントグラフト内挿術の適応となる場合が増えてきました。開胸手術は確立されており安全性も向上していますが、高齢者や持病がある患者さんではリスクが高く、動脈瘤が見つかっても手術が出来ないということもありました。これに対して、両足の付け根を10p程度の切開で済むステントグラフト手術の導入によって、多くの患者様の命が救われています。もちろん保険診療で認められている手術ですので、安心して受けることが出来ます。  
当院でも今年の1月より胸部の大動脈ステント手術を行っています。胸部大動脈瘤は一般の健康診断でも見つかることがありますので、胸部レントゲンを含めた定期健康診断をお受けになることをお勧めします。


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