このページでは、Javascriptを使用しています

病気のはなし

近視・遠視・乱視・老視

眼科 関根 寿樹
(緑のひろば 2011年3月号掲載)


【はじめに】
人間の目はカメラに例えられます。カメラは光を屈折させ焦点を結ばせるレンズ、映像を投影するフィルム(デジカメではイメージセンサー)からなっていますが、目にも同様にレンズの役割をする角膜と水晶体、フィルムの役割をする網膜があります。 写真の美しさはレンズの善し悪しにあるとも言われ、レンズメーカーはその精度を競い、さまざまな味付けをしたレンズを販売しています。人間の目で主にレンズの役割を果たすのが角膜と水晶体です。たった2枚の部品からなっていると考えればどんなカメラ用レンズよりも優秀だと言えますが、人間のからだは工業製品に比べ“個性”という誤差が大きいようです。それが近視、遠視、乱視と言われるものです。

【近視】
近視は遠くにあるものからの光が網膜より前に焦点を結んでしまう状態のことを言います。ただし近くにあるものは網膜に焦点を結ぶのではっきり見ることができます。原因は角膜と水晶体の屈折力が強すぎる場合と、眼球の長さが伸びている場合があります。矯正は屈折力を弱める凹レンズを用います。

【遠視】
遠視は遠くにあるものからの光が網膜より後ろに焦点を結んでしまう状態のことを言います。遠視では遠くも近くもはっきり見ることができません。原因は角膜と水晶体の屈折力が弱い場合と眼球の長さが短い場合があります。矯正は屈折力を強める凸レンズを用います。

【乱視】
乱視は主に角膜と水晶体の歪みが原因です。人間の眼球は完全な球ではなく、程度の差はありますが誰でも多少の歪みがあるため、光の入ってくる方向によって屈折力が異なることになります。矯正は円筒形をした特殊なレンズで行います。

【老視】
最近のカメラではオートフォーカス機能が付いているため焦点合わせに気を遣うことがあまり無くなりましたが、鮮明な写真を撮影するためには被写体からの距離によって焦点を調整する必要があります。若いときは意識することなく遠くにも近くにも自在に焦点を合わせて物を見ています。これは水晶体の厚みを変化させることにより行われており、これを「調節」と言います。老眼(医学的には「老視」と言います)は加齢により調節力が衰え近くの物に焦点を合わせられなくなることを言います。40歳ぐらいから徐々に近くを見る作業の時に眼が疲れるなどの症状が出てきます。もともと近くに焦点が合っている近視の方は老視を自覚しにくいことはありますが、老視にならないわけではありません。近用眼鏡(老眼鏡)で矯正します。

【最近の白内障手術】
白内障手術は混濁した水晶体を取り除き、透明な人工の眼内レンズを移植する手術です。水晶体の透明性を取り戻すということが大きな目的ですが、移植する眼内レンズの度数を調整することにより近視、遠視を軽減することができます。また、最近は検査精度と手術技術の向上により強い乱視の方には乱視矯正眼内レンズが用いられる場合もあります。さらに、自費診療ですが遠くも近くも見えやすくなるように老眼鏡の機能を組み込んだ「多焦点眼内レンズ」が開発され、術後全く眼鏡が必要ないというわけではありませんが、眼鏡の使用頻度が少なくて済むようにもなってきています。白内障手術を受けられる際は眼科の担当医とよく相談し、生活スタイルに合った眼内レンズを選び快適な生活を送れるようにしたいものです。



このページのトップへ