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病気のはなし

心房細動(後篇)

循環器内科 野崎 彰
(緑のひろば 2009年12月号掲載)


心房細動と脳梗塞

 それぞれ心臓と脳の病気で、お互いに関係なさそうですが、実は深いところでつながっているのです。心房細動では、心臓の中で血液がよどみやすくなり、血栓という血の塊ができることがあります。その塊が血液に乗って流れて行き、細い血管につまることがあります。血栓が血管につまってしまうと、その先には血液が流れなくなり、養われている臓器が死んでしまいます。血流が途絶えて、臓器が死んでしまうのが梗塞です。頭の血管がつまると脳梗塞になり、手足が動きにくくなったり、言葉が不自由になったりします。この他にも、腎臓や心臓の血管がつまることもあり、それぞれ腎梗塞や心筋梗塞になります。 しかし、圧倒的に脳梗塞の発生頻度が高いのです。

心房細動の中でどのような人が脳梗塞を起こしやすいのでしょうか?

 脳梗塞を起こしやすい危険因子というものがあります。@心不全、A高血圧症、B75歳以上、C糖尿病、Dこれまで脳梗塞や一過性脳虚血発作になったことがある人、が危険因子です。それぞれの危険因子について、なければ0点、あれば1点とします(Dだけは1点ではなく2点に計算します)。それぞれの点数を合計すると、0点から6点までの点数がつきますが、その点数が増えていくにしたがって脳塞栓症の発生頻度が増加します。脳梗塞の発症率は、0点であれば年間2%弱ですが6点だと年間18%になります。

血栓を予防するにはどうすればよいのでしょう?

 今のところ効果が確実だと言われているのはワーファリンという薬です。この他に、アスピリンなどのような血小板が凝まるのを抑える薬もありますがワーファリンほど確実ではありません。危険因子の多い方はワーファリンを内服していただきます。

ワーファリンを飲んでいるときにどのようなことに注意すればよいのでしょう?

 ワーファリンは薬が効きすぎると、その本来の作用で血液が固まりにくくなって、出血しやすくなります。それに対して、薬が効いていないと血栓ができる危険性が増します。そのため、頻回に採血して血液の固まりにくさを測定して内服量の調節を行います。
ワーファリンが効きすぎていることを疑わせる症状には次のようなものがあります。打撲をした覚えがないのに大きな青あざができる。黒っぽい色の便が出る。赤やコーラのような色の尿が出る。鼻血や歯茎からの出血。高齢者で足腰が立たなくなったり、元気がなくなったり、認知症が進行したりする場合は頭の中に血腫という血の塊ができていることもあります。このような症状が出た場合は速やかに医師に相談してください。
ワーファリンはビタミンKで効果が弱められます。そのため、納豆、クロレラ、青汁といったビタミンKを多く含む食品は禁止です。納豆はダメですが、大豆、豆腐、味噌、甘納豆は大丈夫です。ブロッコリー、アスパラガス、キャベツ、レタス、海藻類などもビタミンKを多く含んでいますが、ふつうに食べている量なら心配いりません。
抜歯や体の表面の手術ならワーファリンを中止する必要はありません。
ワーファリンは色々な薬の影響を受けやすい薬です。新しい薬をもらうときは医師や薬剤師に「ワーファリンをのんでいます」と伝えてください。



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