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病気のはなし

患者満足度の高い手術室を目指して

麻酔科 重松 次郎昌幸
(緑のひろば 2008年4月号掲載)


今回は麻酔科が担当ですので、特定の病気の話ではなく麻酔の話をしたいと思います。
麻酔科は患者様の安全を確保・監視しながら、痛みを緩和するのみならず精神的なストレスをも軽減するために、多くの場合患者様に眠っていただいております。除痛のみをすることを局所麻酔というのに対し、手術中眠っていただく場合は全身麻酔と呼んでいます。
『麻酔』を患者様に施すことを通常どのように表現するでしょう?通常『麻酔をする』とは言わず、『麻酔をかける』と表現します。何故、『かける』というのでしょうか?これは、『魔法をかける』とか『技をかける』などと同様に考えられているためだと思います。だからと言って、麻酔をかけてもらうと魔法にかかったように眠ってしまい、しかも手術中の痛みが取れるというものではありません。痛みを緩和するという手段と眠っていただく手段とは全く別物なのです。
通常痛みを取るためには麻薬に代表されるような鎮痛剤を投与したり、各種の神経ブロックを駆使して除痛をしております。全身麻酔とは、このように手術の部位や時間を考慮の上で鎮痛を施し、その上で催眠剤(鎮静剤)を投与して眠っていただいているのです。魔法をかけている訳ではないので、全身麻酔をしていても鎮痛が不十分だと目が醒めた時に痛いという状況が生じます。このように全身麻酔は鎮痛と鎮静のバランスを考えながら薬剤を調節投与して行っています。
全身麻酔と聞くと、テレビドラマの手術シーンで見かけるような、口から人工呼吸用の管が入れられて人工呼吸されているイメージを持たれる方が多くいますが、決してそれが全てではありません。勿論、手術によっては完全に呼吸をコントロールしなければ出来ないもの、安全のために絶対に人工呼吸が必要なものもあります。一方で、人工呼吸などせずに酸素マスクをしているだけで鎮静剤によってスヤスヤと眠っているだけというものまで様々です。鎮痛剤・鎮静剤には呼吸に影響を与えるものが少なくないので、安全に呼吸を管理するために予め人工呼吸を前提として管理するものもありますが、過大な侵襲が患者様に及ばぬよう常に麻酔科医が傍について管理しています。
はじめに述べましたが、手術を受ける患者様はたとえ痛みがしっかり取れていても手術に対する不安等でストレスを感じています。麻酔科としては、痛みを含めて手術室でのストレスを極力軽減できるよう、患者満足度の高い手術室を目指し日々努力致しております。


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